教育セミナーのご案内

日本小児救急医学会教育研修委員会では毎年、2日間にわたる教育セミナーを開催しており、今回で第15回目となります。今年は12月14、15日の2日間リアルタイムに配信するウェビナーと、その後約1か月間視聴可能なオンデマンド配信を併用して行います。

この教育セミナーの目的は、参加してくださった皆様に臨床に役立つ、小児救急に関する知識や技術を学んでいただくことです。今年も、小児救急領域で近年重要視されているテーマを厳選し、動画ベースでエキスパートによるレクチャーをお届けします。濃密な講義になるように準備しますので、ぜひ皆様のご参加をお待ちしております。

第15回 日本小児救急医学会教育セミナー ウェブセミナー
期 日
  • 2024年12月14日(土)、15日(日)両日とも13時開始〜16時30分前後まで
    Zoomウェビナーによるリアルタイム配信
  • 2024年12月16日(月)〜 2025年1月17日(金)
    Vimeoによるオンデマンド配信あり
主 催 日本小児救急医学会 教育研修委員会
対 象 小児救急に興味がある医師、看護師、救急救命士、学生
内 容

12月14日(土)

L1:SDGsと小児救急の深〜いカンケイ

SDGs (Sustainable Developmental Goals: 持続可能な開発目標)について聞いたことがない人は、もはや誰もいないでしょう。しかし、その真の理念まで知る機会は限られていたかもしれません。このセッションでは、SDGsが目指すもの、そして日々地域において小児救急医療に取り組む私たちと国連が掲げるSDGsとの深い関係について共に学び、今日からの診療の意識を変えるきっかけにしたいと思います。

L2:虫垂炎のぼんやり感を解消:身体所見の解像度を劇的に高めるコツ

急性虫垂炎の身体所見は数多くありますが、それらをただ羅列するだけでは、ピントが合わず、ぼんやりとした印象になりがちです。身体診察の解像度を上げることで、見落としがちな虫垂炎がより明確に見えてきます。この講義で身体診察のコツを掴み、虫垂炎の見極めをよりクリアにしてみましょう。

L3:ととのいアニキDrマーシーの小児救急ケースカンファレンス

こどもの救急はいろんな症状・状態でやってきます。同じ症状・兆候でも、軽症から重症まで幅広く、数少ない重症を見分けることは難しいですよね。いざって時にどうするか、悩みと心配は尽きません。今回は、Drマーシーと一緒に提示する誤飲と外傷の2症例を通じて皆さんの痒いところを掻いてみたいと思います。シランケド。

L4:小児搬送の“Packaging”を深堀りしてみる

重症小児の搬送において、安全に確実に搬送するためには、患者の特性に応じた適切な「パッケージング(Packaging)」が求められます。成長段階にある小児は、解剖学的な特徴や生理的な反応が成人とは大きく異なるため、搬送時に特に配慮が必要です。基本的な小児の解剖学的特徴に触れながら、具体的な「パッケージング」の技術や戦略を深掘りしていきたいと思います。小児の搬送時に使用される機材の選択、適切な固定方法、搬送中に発生し得る問題への対処法などを中心に解説し、搬送の現場で役立つ実践的なスキルや知識を紹介、共有します。

L5:奥が深いよ「こどもの呼吸」

小児の呼吸不全。救急の現場でなくても、誰でもどこでも遭遇しうる病態です。酸素を投与しておけば大丈夫?そもそも呼吸が悪いってどういうこと?挿管しないでいいの?これらのナゼを解明すべく、病態生理から“こどもの呼吸”を紐解いていきたいと思います。

L6:稀だけど急を要するOncologic Emergency

小児の悪性腫瘍は日常診療で遭遇することは稀ですが、症状の進行が急速なことが多く、発症時にはほぼ全ての症例がクリニックの外来、あるいは二次救急の救急外来などを受診します。その中で一部は急速に全身状態の悪化を来し、診断がついていないままで救命のために緊急の処置や手術などが必要になる、いわゆるoncologic emergencyとなります。いざという時のため実例をもとに、小児の悪性腫瘍の特徴を踏まえて、適切な検査や治療、至適施設への転院などについて一緒に考えていきましょう。

L7:知って得する!子どもにやさしいプレパレーションのすすめ

この検査や治療、今すぐやらなきゃ!そんな時、子どもへのプレパレーションってどうしていますか?泣くし、暴れるし、処置もうまく進まない...子どもの不安な気持ちもわかるけど、結局は子どもだからしょうがない...そんなふうにあきらめてしまうことはありませんか?ちょっとしたプレパレーションの一工夫でその不安を吹き飛ばすことができたら、子どもだけでなく保護者も医療者もみんながハッピーになれるかもしれません。今すぐ実践できるプレパレーションのコツについて、一緒に考えていきたいと思います。

L8:看取りの医療〜遺族との対話から

子どもを亡くした家族のグリーフケアの会が主催する、家族と医療者が意見交換するセミナーのサポートを行う機会を得た。そこで聞かれた家族の心情の吐露は大変貴重なものであった。自分は診療上、子どもが亡くなる場に関わることが少なくないが、それでも気づかなかった、知らなかった、あるいは理解しきれなかった家族の思いがあることを知った。その内容に触れながら、子どもが亡くなる時に家族にどう接するか、もう一度考えてみたい。

12月15日(日)

L9:嵌頓!?〜鼠径ヘルニア〜

みなさん、鼠径ヘルニアなんぞ恐るるに足らず、と思っているでしょうか?中には恐れるべき「嵌頓」を起こす子がいます。一方、しばしば「嵌頓もどき」や「出っぱなし」の子もやってきます。では20分間、本編をじっくり見てみてください。鼠径ヘルニアの嵌頓の見分け方、適切な対処法、整復のコツ、がわかります。あなたも「鼠径ヘルニア嵌頓かかってこい」と言えるようになりましょう!

L10:細かすぎるけど伝わるはず!子どもの処置で使えるPOCUS

子どもの処置の精度を上げたい!うまくいかない時のプランBを持っておきたい!そんな皆様に朗報です。子どもの処置にエコーが使えることがエビデンスで示されてきています。ただ実用化するには細かなお作法があり、そこまでは論文や教科書に載っていないことが多いです。今回は、子どもの処置で使えるエコーのリアルな使いかたを映像化します。ご賞味あれ。

L11:子どもの頭部外傷を診る際の注意点〜帰宅はOK?ERで観察?紹介搬送?判断のポイントについて〜

小児科医が頭部外傷を診る際に注意すべき点について解説します。全体の95%が軽症とされる頭部外傷ですが嘔吐や傾眠など、一般的症状の解釈にはいつも不安が伴います。画像検査をすべきかどうか、いまの状態で帰宅させても大丈夫か、脳神経外科にコンサルトした方がいいかどうか、悩みは尽きません。また、手術適応がないとされて入院観察する際の注意点は?紹介搬送を決断するタイミングは?実例に沿ってエビデンスを挙げながら分かりやすく解説します。講義を聴いた後は、皆さんの不安も解消されるでしょう。どうぞ期待してください。

L12:はて?事故?虐待?子どもを守ろう!!

事故か虐待か?はたまたしつけか体罰か?救急医療の現場では悩ましいケースに出会うことも多いと思います。保護者の意図(もしくは主張?)にかかわらず、子どもの安全と健全な育成が図られているかどうかに着目して判断することが大切です。とはいえ子どもを守ろうという正義感が暴走しても子どもは守れません。保護者はどうする?虐待を頭の隅に置きつつ保護者の話を傾聴する。みなさんはどう対応しますか?救急外来第一線での家族への対応を考えてみましょう。

L13:保護者に「伝わる」情報発信を考えよう

SNSで情報を得て発信する時代だからこそ、医療者が保護者に正確な情報を伝えることはますます重要です。一方で、頑張って伝えたつもりがどうして伝わらないのだろうと、もどかしい思いを経験することも少なくありません。今回は医療情報が保護者に伝わり、行動につながるためのコツを皆さんと一緒に考えたいと思います。

L14:子どもの不安障害と求められる急性期対応

子どもの不安障害には、全般性不安障害、パニック障害、強迫性障害、場面緘黙などが含まれ、性虐待や家庭不和といった逆境的な環境要因がその発症や悪化に大きく関与します。過呼吸や頻脈、強迫的行動、発話困難といった身体的症状を伴うことも多く、特に急性期には迅速な対応が求められます。心理療法や薬物療法を組み合わせた包括的な介入が重要です。最新の知見に基づき子どもの不安障害の対応と環境要因へのアプローチを学びます。

L15:論文の図と表を見てみよう!~アブストだけではわからない情報をつかむために~

論文の図や表にはいくつかの型があります.その型を知った上で図や表を見てみると,アブストラクトだけではわからない情報が詰まっています.自分の臨床に役立つ情報に出会うためには何に着目して図や表を見れば良いか,考えていきたいと思います.

委員長 竹井寛和(兵庫県立こども病院 救急科)
事務局長 後藤保(鳥取県立中央病院 小児救急集中治療科)
事務局 木村  翔(東京女子医科大学八千代医療センター 小児科)
藤森 大輔(鳥取大学医学部 周産期・小児医学分野)
吉野  豪(鳥取大学医学部 脳神経小児科学分野)
黒澤 健悟(津山中央病院 小児科)
奥田 綾乃(鳥取県立中央病院 小児科)
参加費用
学会員: 2,000円
非学会員: 6,000円
学生のみ: 無料(大学院生は除く、申し込みの際に学生証などの証明が必要)
受講者募集開始 2024年10月25日(金)
募集に関する注意点
  • 応募の上で参加費のお支払いが確認できた方をセミナー参加者としての正式な登録といたしますことをご了承ください。
  • オンデマンド配信終了後、全てのセミナー参加者に修了証を電子媒体でお送りさせていただきます。
募集締め切り
リアルタイム配信 2024年12月9日(月)PM12:00(正午)まで
オンデマンド配信 2024年12月27日(金)PM12:00(正午)まで
リアルタイム配信
  • 12月14日(土)、15日(日)にZoomウェビナーでリアルタイム配信をおこないます。
  • 講師に直接質問を投げかけられる貴重な機会ですので奮ってご参加ください。
  • 受講形態の リアルタイム配信+オンデマンド をお選びの上、参加費のお支払いが確認できた先着400名にZoomウェビナー参加のURLをお送りいたします。
オンデマンド配信
  • 2024年12月16日(月)〜2025年1月17日(金)まで、Vimeoによるオンデマンド配信を行います。
  • オンデマンド配信については、リアルタイム配信をご覧いただいた如何に関わらず参加費のお支払いが確認できた方全てにご案内をお送りします。