教育セミナーのご案内
日本小児救急医学会教育研修委員会では毎年、2日間にわたる教育セミナーを開催しており、今回で第13回目となります。新型コロナウイルス感染症の流行という社会状況を踏まえ、今年も引き続きウェビナー形式で開催いたします。
この教育セミナーの目的は、参加してくださった皆様に臨床に役立つ、小児救急に関する知識や技術を学んでいただくことです。従来のエキスパートによるショートレクチャーに加え、今年は神経、感染症、精神科領域の専門家を招聘し、各領域の小児救急的トピックスをレクチャーしていただけることとなりました。2日間、濃密な時間を過ごせるように準備しますので、ぜひ皆様のご参加をお待ちしております。
第13回 日本小児救急医学会 教育セミナー ウェブセミナー | |
---|---|
期 日 | 2022年12月3日(土)4日(日)同日とも13時開始〜16時30分頃 |
主 催 | 日本小児救急医学会 教育研修委員会 |
対 象 | 小児救急に興味がある医師、看護師、救急救命士 |
内 容 |
第1日目 12月3日(土)Lecture 1:皆さんの時代の小児救急医療未来の小児救急医療はどうなる?! これから日本は世界のどこの国もが経験したことのない未曾有の少子高齢化社会に突入します。その中で数少なくなったこどもたちのための急性期医療の未来図は、どうなって行くのでしょうか。このセミナーを受講する、これからの日本の小児救急医療を担おうとする方々と、一緒に考えてみたいと思います。 Lecture 2:ショック 点を繋ぐ身体診察呼吸の異常と比べると頻度が少ない小児のショック。その時、その瞬間だけでは気づけないことがあります。それでも点で確実に評価し、線で繋いでいくことでショックという病態が浮かび上がらせることができます。身体診察でショックを早期発見するコツを身につけましょう。 Lecture 3:~USダイバー~ 小児臨床超音波で荒波にダイブする小児医療のスキル、臨床医のスキル、超音波のスキル、これを足し算ではなく、かけ算をして診療を行う(荒波にダイブする)といろいろなものが見えてきます。これが小児臨床超音波です。小児臨床超音波は一発診断の「武器」にもなり、見落としから守る「防具」にもなります。小児科医はこどもの総合医です。内因、外因の疾患問わず、腹部、表在など場所を問わず小児臨床超音波を駆使して荒波にダイブしていきますので乞うご期待。 Lecture 4:⼩児の施設間搬送重症⼩児の予後改善のためにPICU(Pediatric Intensive Care Unit)への集約化が必要と言われる⼀⽅で、医療資源も活動空間も制限され、トラブル発⽣のリスクの高い施設間搬送をいかに安全かつ確実に⾏うかを学ぶ機会はほとんどありませんでした。そんな施設間搬送の考え⽅や実際の⽅法について、⼀緒に考えてみましょう。 Lecture 5:小児の外科系救急 〜急性腹症、こんな疾患もあります〜小児救急の現場で出会う腹痛は頻度の高い病態です。その中には取り返しのつかない経過を取りうる厄介な腹痛や、小児領域ではなかなか判断できない病態が隠れていたりします。急性腹症の対応の際に陥りやすいpitfallなどについて、実症例をもとに考えてみましょう。 Lecture 6:「点滴がとれません!!」困ったときのエコー下穿刺末梢ラインの確保に悪戦苦闘していると,どこからともなく現れて,あっという間に末梢を確保してしまう...いわゆる達人...どこの施設にも一人はいるのではないでしょうか。こんな達人になる方法は教えられませんが,達人に近づく方法としてエコー下穿刺にみんなでチャレンジしてみませんか.エコー下穿刺の基本を学んで,明日から実践していきましょう!! Lecture 7:Dr.マーシーがそこまで言っちゃいます ~日常使いの災害医療〜救急外来では、ある意味いつも局地災害が発生しています。災害医療はCSCATTTだけじゃあない!普段の救急外来でのマルチタスクマネージメントでも使える災害医療の知識を皆さんと確認してみたいと思います。ナース・ドクター間での情報共有、場所と人と時間のマネージメント、一つでも皆さんのヒントになれば幸いです。 Lecture 8:小児COVID-19振り返るパンデミックはこれまで放置されてきた問題をあらためて認識するきっかけになった。救急医療体制や感染症対策は本当にわが国の子どもたちにとって本当に過不足でも過剰でもなく提供できたのか疑問である。せめてこれからは、子どもにとって本当に必要で有用な対策を考えることが肝要である。いくつかの事例を共有し、一緒に考えたい。 第2日目 12月4日(日)Lecture 9:小児の外科系救急 〜上気道閉塞、こんな疾患もあります〜気道が閉塞するほど怖いことはない。救急ABCのAの段階のトラブルである。上気道閉塞は物理的な因子が原因となることがほとんどだが、適切な気道確保、その上での原因疾患の治療が必要である。ここでは、上気道狭窄・閉塞を生じる小児の外科的疾患を挙げて症例を提示する。参加者の記憶の一角に陣取らせてもらいたい。 Lecture 10:小児の神経救急 5つの主訴別アプローチけいれん重積を除けば、神経救急はたいがい主訴が多彩で、診断と治療のプロセスが迷走しやすいです。そこで、主訴を多少無理にでも「けいれん」「麻痺・巣症状」「失調・歩行障害」「外傷」「頭痛・嘔吐」の5つのどれかに当てはめると、評価と介入のアプローチが定まり、短時間で効率よく方針が決まります。そのあたりのお話をする予定です。 Lecture 11:子どもの摂食障害 ~食べない、食べられない、食べたら止まらない~極度のるい瘦を来して小児救急を訪れることも多い、神経性やせ症をはじめとした子どもの摂食障害は、病識がなく、頑固に治療に応じないことも多い、対応の難しい疾患です。なんとか治療に応じさせようと強く叱責したり、叱咤激励すると、追い詰められて自傷に転じたり、無理して食べるうちに、今度は過食嘔吐の繰り返しに陥ることもあります。子どもの摂食障害の病態や、小児科ではどのような初期対応が必要なのかを学びましょう。また、小児科では対応の難しい神経性やせ症について、児童精神科とどのように連携するかについてもお伝えしたいと思います。 Lecture 12:謙虚に学ぶAHTの基礎知識(常に謙虚に=市川光太郎先生の座右の銘)虐待による頭部外傷(Abusive Head Trauma: AHT)の診断に必要な、受傷機転・画像所見、また治療について、科学的根拠をまとめます。また、最近学会を挙げて大きな議論となったポイントについて解説します。AHT診断は多職種・多診療科の見解を基にする総合的な判断であり、司法判断に強く関係するため、思い付きの直感に頼ることなく、一例ごとの多様な背景にあわせて、謙虚に考察する能力について共に考えながら学びましょう。 Lecture 13:虐待対応に正義の味方はいりません打撲痕やあざになるほどひどく叩かれる子どもは約50人に一人、突き倒されて裂傷をうける子どもは約500人に一人、暴行による頭部打撲・頭部損傷は約5000人に一人の割合で発生しています。こんな子どもが救急外来に来た時、事故?まさか虐待?みなさんはどうしますか?子どもを守ろうという思いが、おとうさん・おかあさんを悪者にしていませんか。救急外来第一線での家族への対応を考えてみましょう。 Lecture 14:小児救急的 事故予防のススメ子どもたちを避けられる事故・傷害から守りたい。防げる事故を確実に予防するためには、「変えられるもの」を見つけ、変えていくことが重要です。「気をつけましょう」で終わらせない。実効性と継続性ある事故予防活動の実践に向けて、私たち小児医療関係者に担える役割を一緒に考えてみましょう。Let’s know! share!! and advocate!!! Lecture 15:<論文が読みたくなる>オッズ比って何?「オッズ比」はなんとなく分かる気もするけど...multivariable analysis, generalized linear model, logistic regression model, adjusted odds ratioなんて言われると,英語がわからないのか,統計用語がわからないのか,もう論文を読む気が無くならないでしょうか?これらの用語を身近な例をもとに考えていきたいと思います. |
委員長 | 竹井 寛和 兵庫県立こども病院 救急科 |
事務局長 | 竹井 寛和 兵庫県立こども病院 救急科 |
事務局 | 長谷部匡毅 兵庫県立こども病院 小児科専攻医 儀間香南子 兵庫県立こども病院 小児科専攻医 |
参加費用 | 学会員: 2,000円 非学会員: 4,000円 |
受講者募集開始 | 2022年10月 15日(土)AM12:00(午前0:00) |
参加者募集数 | 約150名 |
募集〆切 | 2022年11月 |