教育セミナーのご案内

日本小児救急医学会教育研修委員会では毎年、2日間にわたる教育セミナーを開催しており、今回で第14回目となります。今年も引き続きウェビナー形式で開催いたします。

この教育セミナーの目的は、参加してくださった皆様に臨床に役立つ、小児救急に関する知識や技術を学んでいただくことです。今年も、小児救急領域で近年重要視されているテーマを厳選し、動画ベースでエキスパートによるレクチャーをお届けします。2日間、かなり濃密な時間を過ごせるように準備しますので、ぜひ皆様のご参加をお待ちしております。

第14回 日本小児救急医学会教育セミナー ウェブセミナー
期 日 2023年12月2日(土)3日(日)同日とも13時開始〜17時00分頃まで
主 催 日本小児救急医学会 教育研修委員会
対 象 小児救急に興味がある医師、看護師、救急救命士
内 容

第1日目 12月2日(土)

Lecture 1:私たちと小児救急医療 〜次なる頂を目指して〜

日本小児救急医学会は、今年改組されてから30周年を迎えています。これまで、時代のニーズに合わせて、独自の活動を続けてきました。そして今、少子化、人口減少の時代を迎え、私たちは次の時代を見据えてニーズを探り、対策を練る必要があります。本セッションでは、このような潮流のなかで、私たちが果たすべき役割について、皆様と語り合いたいと考えています。

Lecture 2:会陰部のエコー 〜PENISとTESTISとPOCUSと〜

救急外来に訪れる会陰部の異常の種類は多岐に渡ります。今回は特に男児の会陰部救急で使えるエコーの戦略をお伝えします。絶対外せない急性陰嚢症や鼠径ヘルニア嵌頓で心得ておくべき原則を中心に、すこしマニアックなPENISのPOCUSにも触れる予定です。

Lecture 3:急性虫垂炎 〜君も小児外科医の視点を持てるか?〜

急性虫垂炎は救急外来で遭遇する小児急性腹症の多くを占める疾患です。今回は敢えて小児外科医からみても典型的ではない症例を持ち寄って典型的な例と対比しつつ小児外科医の視点で急性虫垂炎のknack and pitfallsを語ってみたいと思います。

Lecture 4:小児の心臓救急 〜その失神、本当に痙攣ですか?〜

小児救急で遭遇する心疾患は多くはありません。しかし、必ずやってきます。適切な対応が生死を分ける場合もあります。このLectureでは、失神や胸痛、喘鳴の際に陥りやすいpitfallについて、実症例をもとに考えてみましょう。

Lecture 5:「死にたい」への急性期対応

自ら命を絶とうとする児童青年は,押し寄せてくる絶望感と無力感にさいなまれ,それ以外に代替案がないと認知しています。自殺念慮/自殺企図の評価と精神科診療との連携による迅速な環境調整が不可欠です。セミナーではまず自殺関連事象を整理し、代表的な自殺念慮のスクリーニングの具体的な方法を学びましょう。自殺予防のゲートキーパーとして救急医療を担う医療者の責務は大きく、併存する神経発達症や性的マイノリティ・LGBTQ+の特性、さらに児童虐待・ネグレクトやいじめといった逆境的体験をとらえ、再企図抑止につながる保護因子を患者とともに探ることを始めてみましょう。

Lecture 6:子どもがのんでやってきた ~Drマーシーの小児救急的こどもの薬物中毒入門~

子どもの中毒症例、頼られてませんか?平然とした顔でコンサルトを受けるのに苦労しますよね。多分大丈夫と思うけど…。皆さんは中毒を疑う小児診療に慣れてますか?安心して下さい。そんな人はいません。その反面、一症例を経験すればエキスパートになれるのが中毒診療の面白さです。症例を共有して、中毒を疑った際の対応方法についてお話ししたいと思います。Toxidromeだけじゃあ物足りない方はぜひお聞きください!!

Lecture 7:小児救急診療四十八手

四十八手(しじゅうはって)とは相撲における決め技のことで、室町時代からその名が見られる。古来の日本では「縁起の良いたくさんの数」として「48」を使用していたようだ。不安や不快が立ち込める救急外来で、こどもに安心と安全を与えるためにどのようなコツがあるのか。今夜の診療から即実践!診察にも手技にも使えるcomfort positioningをテーマとしてお届けする、縁起の良いショートレクチャー!

Lecture 8:看取りの医療を考える

成人に比して小児が命を失うことは稀ではあるが、救急の現場では避けて通ることのできない出来事でもある。生きること、死ぬことに関する価値観は、人種別、民族別、国別に切り分けられるわけもなく、結局帰するところはその人個人による、ということになるだろう。先般のコロナ禍を通じても、この価値観を共有することの難しさを痛感した。
成人、小児の看取りについて、現代に生きる私たちが、人口減少・経済力衰退をむかえるこの国の将来を見通しながら、考えていく端緒になれるような話ができればと思います。

第2日目 12月3日(日)

Lecture 9:目は口ほどに物を言う 〜明日から役立つこどもの眼の神経診察〜

こどもの神経診察は観察が命です。その中でも眼は観察ポイントが満載で、まさに眼が離せません。ちょっと訓練すれば、こどもたちの澄んだ眼をほんの数秒観察するだけで、けいれんが止まっているか続いているかはもちろんのこと、大脳皮質、基底核、中脳、小脳、神経筋接合部、頭蓋内圧、脳血管、あげくの果てにはおなかの悪性腫瘍まで見えてしまいます。救急外来で明日から役立つこどもの眼の神経診察を、明るく楽しくお伝えできればと思います。

Lecture 10:5分で読む!英語論文 研究編

忙しい臨床の中,なかなか英語論文を読む時間はないと思います.そこで,短時間で英語論文を読むための工夫を考えていきたいと思います.まずは研究論文の中で大切なところが書いてあるところを知り,翻訳アプリを使い英語ではなく日本語として読むことを実践してみたいと思います.さらに,読んだ論文をどのようにまとめるのが良いか,について考えていきたいと思います.

Lecture 11:あなたも出来る!小児救急的、症例報告活用術!

教科書やReviewを読んでも、今一つ疾患のイメージが出来ないこと、ありませんか?様々な疾患と対峙する小児救急医にとって、各疾患の解像度を上げておくことは非常に重要です。今回の講義では身近な論文形態である症例報告を通じて、日々の診療をレベルアップさせる方法を伝授します!

Lecture 12:子ども虐待対応のいろは

小児救急の現場で子ども虐待に出会ったことがありますか?日本では毎年18歳未満の子どもの50人に1人が通告されています。子ども虐待はとても身近なところで起こっています。子どものみかたとして私達が知っておくべき「子ども虐待対応のいろは」を一緒に学びましょう!

Lecture 13:事故?虐待!?どうする保護者対応!!

打撲痕やあざになるほど叩かれる子どもは約50人に一人、突き倒されて裂傷をうける子どもは約500人に一人、暴行による頭部打撲・頭部損傷は約5000人に一人の割合で発生しています。外傷の子どもが救急外来に来た時、事故?虐待?みなさんはどう対応しますか?子どもを守ろうという思いや保護者に対する感情が、不適切な態度に出ていませんか?虐待を頭の隅に置きつつ傾聴する。救急外来第一線での家族への対応を考えてみましょう。

 
Lecture 14:子どもの頭部外傷を診察するときの注意点 〜解剖・生理の変化と脳損傷〜

小児救急において頭部外傷はcommon diseaseのひとつですが、初期対応から診断、経過観察まで常に不安と背中合わせです。成長期の中枢神経の解剖と生理の変化を経時的に追って理解することで、外傷性脳損傷の特徴も変化していくことが分かり、内科的対応が臨床経過を大きく変えていくことが明らかになります。成長期にある子どもの頭部外傷を診察するときの注意点について解説します。

Lecture 15:小児の施設“内”搬送 〜千里の道も一歩から〜

ERで気管挿管を行い、鎮静薬・カテコラミン持続投与を開始した患者のICU入室、CT撮影のためにICUからCT室への移動などなど・・・。小児は移動距離の短い院内の搬送といえどリスクがいっぱいです。いかに安全に小児を搬送するか、施設間搬送という千里の道の第一歩、基本となる院内搬送をみんなで考えてみましょう!

Lecture 16:息を合わせて 〜小児の吸気と呼気を見分ける視診〜

小児における呼吸の異常、その最初のステップは吸気か呼気かを見極めることです。一見簡単に思えますが、小児の呼吸は速く、吸気と呼気を区別することは想像以上に困難です。この講演では、正確な区別が診断を左右する場面での視診の重要性に焦点を当て、その魔法について詳しく解説します。小児救急の現場で役立つ視診技術の魅力的な秘訣を一緒に探求しましょう。

委員長 竹井 寛和 兵庫県立こども病院 救急科
事務局長 木村 翔 東京女子医科大学八千代医療センター 小児科
事務局 東京女子医科大学八千代医療センター 小児科
阿部 昂太 東京女子医科大学八千代医療センター 小児科
浅木 弓英 東京都立小児総合医療センター 救命救急科
参加費用
学会員:2,000円
非学会員:6,000円
学生・初期研修医:無料(大学院生は除く、申し込みの際に学生証などの証明が必要)
受講者募集開始 2023年10月20日(金)AM12:00(午前0:00)
参加者募集数 約150〜200名
募集〆切 2023年11月17日(金)PM12:00(正午)まで