理事長挨拶

理事長あいさつ

年頭所感
長村敏生

長村敏生ウイズコロナ時代の年明けを迎え、会員の皆様におかれましてはいかがお過ごしでしょうか。2020年はCOVID-19対応で明け暮れた1年といっても過言ではなく、医療提供体制、医療経営、さらには医療従事者のメンタルヘルスまでが逼迫される状況が続き、コロナとの共存を目指す指針も定まらない中でひたすら自粛を求められる時間だけが過ぎていくような1年でした。

さらに、わが国では出生数が2019年(約86万5千人)まで5年連続で過去最少を更新してきましたが、2020年は84万人台半ばに減少する見通しとなり、コロナ感染拡大の影響が大きく反映される2021年の出生数は70万人台まで落ち込むことが懸念されています。この急激な少子化は今後の小児医療政策、地域医療構想の見直しにも影響を与えることになり、仮にコロナウイルスが弱毒化して普通の風邪のウイルスに変容したとしても以前の状況、ライフスタイルに後戻りはできないことが危惧されます。

しかし、少子化が進んでも子どもが生まれてくる限り小児医療は必要なものであり、むしろ子どもを健全に育てる重要性はさらに高まります。そのような時代においては、エビデンスに基づきながら子ども達と保護者に寄り添い、患者から信頼される医療の提供がより求められると思われ、日本小児救急医学会が今まで以上に大きな役割を果たすためには学会としてのさらなる基盤強化が重要と考えています。

当学会では山田至康先生が中心となって2008年3月に「小児救急医療の教育・研修目標」を発表しましたが、その後の小児救急医学の進歩を反映するべく、2019年7月に小児救急医療の教育・研修目標改訂ワーキンググループ(井上信明委員長)を立ち上げて改訂作業にあたってまいりました。その結果、昨年(2020年)には現状に即した国際的評価にも耐えうるコンピテンシー基盤型カリキュラムとして12年ぶりに改訂した教育・研修目標を学会雑誌(2020:19:360-372)や学会HPに発表することができました。今回リニューアルされた教育・研修目標はこれから小児救急医療の専門家を目指す方々にとってはまさに羅針盤というべきものです。

「愛好家」とは自分の興味のあることを詳しく勉強して十分な知識を持っていることを自負している人を指し、自称専門家ともいえます。これに対して「専門家」とはあることに関する知識や経験が豊富であることを自分以外の人から評価されている人のことです。つまり、「専門家」というのはあくまでも他の人から認知されてはじめて成立するものです。当学会においてもこのような教育・研修目標を策定した以上は、次のstageとして小児救急医療の「愛好家」ではなく、「専門家」を養成するために、サブスペシャルティ領域専門医制度構築も視野に入れた活動をさらに進めていかなければならないと感じています。

会員の皆様にはさらなるご支援とご協力を重ねてお願いするとともに、皆様にとって2021年が良い年となりますことを祈念します。