小児の脳死判定セミナーのご案内

第13回脳死問題検討委員会セミナーは、終了しました。

新型コロナウイルス感染症の蔓延は、わが国の脳死下臓器提供にも大きな影響をもたらし2019年以来18歳未満の臓器提供数は著しく停滞しました。その後感染症は収束し、日常が戻りつつありますが、海外に目を向けると、中国やインドにおける移植医療は2022年、過去最大の伸び率で増加し、標準化された教育プログラムの導入により急速に医療施設が発展しています。これまでも知られる通り、人口100万人あたりの臓器提供者数を見ると、日本は0.62、アメリカの1/68、韓国の1/14です。日本は自国において臓器移植を受ける機会が少ないということを意味しています。アメリカは人口3億3200万人に対し年間約1万4000人が死後臓器提供しており、臓器移植件数は約3万5000件です。日本では人口1億2000万人に対して、死後臓器提供する人は年間100人前後(臓器移植件数は400件程度)となり、アメリカやヨーロッパの諸外国等と比較しても格段に少ないのが現状なのです。

一方、報道では、重症心疾患に苦しむわが子のために家族が渡航移植を決意し、募金活動を呼びかけている記事を見かけます。善意の輪と捉えられていた支援のための行動も、特にイスタンブール宣言の発出以降、多様な意見に晒されることになり、当事者の心に思いを馳せると心痛に絶えません。わが国の移植医療はこのままでいいのでしょうか。

果たして「わが国の移植医療の現在と未来について知らずして、移植医療によって救われる方々の命について考えることは出来ないのではないか」という想いから、今年は、脳死問題検討委員会セミナーのテーマを「移植医とともに考える脳死下臓器提供の未来」としました。臓器毎に、現在そして次世代を担うリーダーの先生方にお越し頂き、身近な距離の中で、日本の移植医療の未来について知り、共に語り合う機会を企画しました。同時に、臓器提供という選択肢を、悲嘆する患者家族に伝えるときに注意すべき視点とは何か、生命倫理の碩学である会田薫子先生にご講演頂きます。

人口減少が確定した日本の未来を憂うる前に、私たちは今を生きる子どもたちの命を確かに救わなくてはなりません。

ともに学んで参りたいと思います。ひとりでも多くの皆様のご参加を心よりお待ち致します。

日本小児救急医学会脳死問題検討委員会 委員長 荒木 尚

第13回脳死問題検討委員会セミナー
期 日 2023年7月23日(日)9:00~12:00
場 所 幕張メッセ
第36回日本小児救急医学会学術集会 第5会場
住 所 〒261-8550 千葉市美浜区中瀬2-1
主 催 日本小児救急医学会 脳死問題検討委員会
共 催 日本臓器移植ネットワーク
対 象 小児の脳死に興味のある医療従事者(医師・看護師・臨床検査技師・心理士など)
内 容
9:00-9:05 ごあいさつ
9:05-9:10 講師紹介
移植医とともに考える脳死下臓器提供の未来
<講習>
9:20-9:30 グループ自己紹介
9:30-10:50 20分×4グループ(1ブロック)
  • A)心臓移植の未来 国立成育医療研究センター循環器科進藤 考洋 先生
  • B)肝臓移植の未来 国立成育医療研究センター臓器移植センター阪本靖介 先生
  • C)腎移植の未来 東邦大学大森病院腎センター濱崎祐子 先生
  • D)肺移植の未来 東北大学付属病院臓器移植医療部平間 崇 先生
10分 休憩
<教育講演1>「エンドオブライフにおける家族への対応 -臨床倫理の視点から」
11:00-11:30 東京大学大学院人文社会系研究科 附属死生学・応用倫理センター  会田薫子 先生
ケーススタデイ グループワーク 小児の脳死下臓器提供の障壁となる問題点を探す
11:30-11:55
11:55-12:00 J-ELSの紹介および修了証授与 (アンケート回収)・閉会
参加費用 第36回日本小児救急医学会学術集会 参加者   無料
第36回日本小児救急医学会学術集会 非参加者  ¥15,000
募集定員 60名
受講者募集開始 2023年5月25日(木)~
募集〆切 2023年6月30日(金)(但し、早めにお申込みが60名に達した場合はその時点で締め切らせて頂きます。)
2023年7月14日(金)まで延長いたします。